救急隊員のための伝わるファーストコール:シナリオで学ぶ内因性疾患・高齢者救急の臨床推論

(救急活動で使用する臨床推論ポケットカード付き)

日時:12月8日(土)10:00~16:00
(休憩45分)昼食別

場所:福岡市民病院
〒812-0046 福岡市博多区吉塚本町13番1号

対象:指導的救急救命士、救急救命士、救急隊員、消防職員
参加費:JSISH会員 3,000円、非会員 6,000円
定員:12名

ファシリテーター
池上敬一  (日本医療教授システム学会)
野田英一郎(福岡市民病院 救急科)
河村宜克(山口大学病院 先進救急医療センター)

学習デザイナー
池上敬一 (日本医療教授システム学会)
岡本華枝 (岐阜聖徳学園大学)

「できる」救急隊員は頭の中で次のように考え救急活動を行っています。情報収集→情報処理→判断・行動プランの決定で、この3つのプロセスは頭の中で行います(能力動詞を使って行う)。決定したプランを実行するには手足を使った動作(動作動詞を使って行う)が必要になります。情報収集・情報処理と判断・行動プランの生成を臨床推論と呼びます。

傷病者の予後にインパクトを与える(救命する、予後を改善する)救急活動では、まず臨床推論能力を使って傷病者の救急活動の手順を生成します(能力動詞を使う)。次に生成したプランを実行に移し行動します(動作動詞を使う)。

「救急隊員のための伝わるファーストコール:シナリオで学ぶ内因性疾患・高齢者救急の臨床推論」では、救急活動で使用する臨床推論ポケットカードを使いながら、シナリオを使ったメンタル・シミュレーションで臨床推論を生き生きと学びます

 事前に配布する資料   

① 救急隊員のための伝わるファーストコール読本
② 救急活動で使用する臨床推論ポケットカード
③ ①と②を使った練習シナリオと解説

 事前課題図書   

① スクリプトで学ぶ救急活動プロトコール―優れた台本に従えば自然にレベルアップできる画期的な学習法(真興交易医書出版部)、池上敬一
② 救急活動シミュレーション学習―受講者と指導者,通信指令員のためのワークブック(真興交易医書出版部)、池上敬一、前田淳一 


例:シナリオ1
119番通報「49歳の夫が変なんです、息が荒くなって様子を見ていたらぐったりしてきて・・・」
前者のとりあえずの診断は心筋梗塞と考えました。
傷病者に全体観察でショックと判断したらプラン赤を選択し急いで傷病者ストーリーを組み立てていきます。
高血圧、糖尿病で内服している。1時間前から様子がおかしくなり安静にしていた。血圧110mmHg、心拍数60回/分、呼吸数16回/分、SpO2は96%(酸素なし)
ファーストコール:49才男性、心筋梗塞の疑いで現在ショック状態です。高血圧、糖尿病で内服中、1時間前に症状が始まり安静にしても改善しません。意識は清明(AVPU)、血圧110mmHg、心拍数60回/分、呼吸数16回/分、SpO2は96%(酸素なし)です。心筋梗塞疑いで受け入れをお願いします。

例:シナリオ2
「88歳男性、施設に入所中なんですが、熱が出てSATが92%に低下し・・・」
誤嚥性肺炎と考えて現場活動を計画します。
傷病者に接触し全体観察で意識の変容(いつもはAVPUのA、接触時はVに変化、目線が定まらない)あり。呼吸困難なし。皮膚に触ると高熱あり。この時点でプランBの敗血症を疑い傷病者ストーリーを組み立てていきます。
先週から頻回にオムツ交換に呼ばれるが排尿は少なかった。数日前から腰痛と軽度の発熱があり鎮痛・解熱剤を内服していた。今朝、ヘルパーが様子がおかしいことに気がついた。脳梗塞後遺症、認知症、高血圧、慢性便秘症がある。過去の入院歴で尿の感染症で泌尿器科に入院したらしい。
ファーストコール:施設に入所中の88才男性、腎盂腎炎による敗血症の疑いです。脳梗塞後遺症、認知症で施設入所中、先週から頻尿になり数日前から腰痛、発熱が始まり身体診察では腰部の軽い叩打で痛みがあります。血圧100mmHg、心拍数80回/分、呼吸数14回/分、SpO2は94%(酸素なし)です。腎盂腎炎からの敗血症の疑いで受け入れをお願いします。

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