日本医療教授システム学会(Japan Society for Instructional Systems in Healthcare)は、
標準的な医療を安全・確実に提供できる医療職の育成に資するための学術的活動を行う団体です。
医療サービスをそれぞれの現場で実践するのは、様々な職種からなる医療職のチームです。患者さんのニーズに合致し、限りある医療資源を最適化した医療を提供するためには、これらの人材・チームを育成するシステム(医療教授システム)が必要になります。
医療教授システムは、現場の状況における人・チームのパフォーマンスの仕組みとその学習プロセスを理解する学問分野(医療のみではなく、心理学、社会学、教育学なども含む)を基盤とします。そして、現場のニーズに基づいた人材・チーム育成システムの構築、システムの実践と評価、そして評価結果に基づくシステムの継続的改善というサイクルを繰り返します。
医療教授システムは、患者さんのニーズ、医療資源、最新の技術を最適化した人材育成システムを開発・普及することで社会に貢献します。医療教授システムの特長を以下にまとめます。
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医療チームが備えるべき能力
- 言語情報
- 現場での問題への気づき、問題設定、問題解決能力
- 標準的な医療行為を安全・確実に行う能力
- ノン・テクニカルスキル(チームワーク、コミュニケーションなど)
- メタ学習能力
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医療チーム育成の枠組み
人材育成システムは、コンピテンシーや学習アウトカムに基づいて構築されます。医療教授システムにおいて、学習者は自ら学習課題を発見・理解し、自ら解決できる能力を身につけることが必要です。この目標に対し、指導者はファシリテーターとして学習環境の改善をし、学習者にフィードバックを提供する立場を担います。 -
従来の「医学教育」との違い
- コンピテンシーの達成をゴールとして設定し、これを効果的・効率的・魅力的に達成するプロセスを大局的にデザインします
- 医療現場の課題をよりよい教授システムを用いて改善します
- 学習者が楽しく、イキイキと学習する環境をデザインします
- 学習者はパフォーマンス向上とメタ学習能力を獲得するプロセスを通じ、自らファシリテーション能力を身につけ、次世代のファシリテーターへと成長します
私たちの考え
- 国民が健康で自立した生活をおくる基盤は、医療の質とそれを提供するシステムにあります。
- 国民の健康を守るためのサービスは、家庭レベルでのセルフケア、病院前救護、プライマリケア、二次病院におけるケア、高度先進医療という場で提供されます。これらはシステムとして機能し、期待できる最良の効果を発揮することが求められます。
- 医療の基本は「必要なときに、必要なケアを迅速に提供する」ことであり、システムが機能すれば傷病による高度な障害や死亡を回避することができます。
- 医療のアウトカムを担保するには、標準的なケアを安全・確実に遂行すること、すなわちこれらを実践できる人材・チームを育成することが必要になります。
アクションプラン
- 現場主義の教育(education for situated learning)を推進します。
- 現場の教育力を向上します。
- フラットで楽しい学習環境の提案
- ファシリテーターの養成(セミナー開発)
- 医療チームのパフォーマンス向上に直結する医療者教育システムを開発し普及します。
- 患者急変対応コース改良版開発
- 医療者間コミュニケーションセミナー開発
- 患者安全トレーニングコース開発
ソーシャルネットワーキング・アカデミックネットワーキング
- ミッションを遂行するには実践現場・職種・組織・学問領域・学会を横断するネットワーキングが必要になります。
- 日本医療教授システム学会はオープンなネットワーキングを基盤とする学術・実践団体です。
- 日本医療教授システム学会のコミュニティは皆さまのご参加を歓迎いたします。対話を通してお互いに学び、その成果を社会に還元します。